レコーディングやライブの日が決まったら、何から準備しますか? 練習はもちろん大事ですが、本番の声を左右するのは、実は本番までの体のコンディションです。
この記事では、ボーカリスト歴13年の筆者が実際にやっていることと、声のケアに関する公的機関・医療機関の資料をもとに、本番1週間前からの過ごし方をまとめます。
この記事でわかること
- 本番の準備が「前日から」では遅い理由
- 1週間前・3日前・前日・当日にやること
- 声のために避けたいこと
- 当日に「喋らない」ときの注意点
健康太郎結論:「睡眠」と「水分」を1週間前から
筆者が本番前にとにかく忘れないようにしているのは、睡眠と水分の2つです。そして大事なのは、前日から意識しても遅いということ。
寝不足や水分不足の影響は、1日寝たり、1日たくさん水を飲んだりしただけでは取り戻せません。だからこそ、本番の1週間前から生活を整えておくのが、筆者の基本です。
米国国立衛生研究所の一機関であるNIDCD(国立難聴・伝達障害研究所)も、声を守るために十分な睡眠とたっぷりの水分補給をすすめています。
本番までのスケジュール
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1週間前 | 睡眠時間を固定する。水分をこまめにとる習慣をつける。お酒・タバコを控え始める |
| 3日前 | 声の使いすぎに注意。長電話やカラオケ、大声を出す場面を減らす。部屋の加湿を徹底する |
| 前日 | いつもどおりの時間に寝る。新しいことはしない(食べ慣れないもの、激しい運動など) |
| 当日 | なるべく喋らない。水分をこまめにとる。発声は本番に向けたウォームアップだけにする |
1週間前:睡眠と水分を「習慣」にする
- 睡眠時間を決めて守る:毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる。自分に必要な睡眠時間の探し方は睡眠の質を上げる方法で紹介しています
- 水分をこまめにとる:一度にたくさんではなく、1日を通して少しずつ。NIDCDは、カフェインやアルコールをとるなら、そのぶん水を多めに飲むようすすめています
- お酒とタバコを控える:NIDCDは喫煙と受動喫煙を避けるよう呼びかけています。厚生労働省の睡眠ガイドでも、寝酒や喫煙は睡眠の妨げになるとされています
3日前:声を「貯金」する
- 声を使いすぎない:1日の中で声を休ませる時間をつくる(NIDCDは「ボーカルナップ(声の昼寝)」と表現しています)
- うるさい場所で話さない:騒がしい場所では自然と声が大きくなり、喉に負担がかかります
- 加湿する:乾燥は声の大敵です。NIDCDは冬場や室内が乾燥しているときに加湿器を使うことをすすめ、東京医療センターの資料でも、加湿を「エンジンオイル」にたとえて重視しています
前日:いつもどおりに過ごす
前日に特別なことをする必要はありません。むしろ、いつもと同じ時間に寝て、いつもと同じものを食べることが大切です。緊張して眠れないときも、早く寝床に入りすぎず、眠くなってから寝床に入るほうが、かえって眠りやすくなります。
当日:なるべく喋らない
筆者は本番の日、なるべく喋らないようにしています。会話で声を消耗してしまうと、本番で出したい声が出せなくなるからです。
ただし、ささやき声で話すのは逆効果になることがあります。NIDCDも、体調を崩して声を休ませるときは叫び声やささやき声を避けるよう注意しています。話す必要があるときは、小さめの普通の声で短く済ませるのがおすすめです。



本番前に避けたいこと
| 避けたいこと | 理由 |
|---|---|
| 寝不足のまま本番を迎える | 体のコンディションが整わず、声にも影響する |
| 声がかれているのに無理に歌う・話す | NIDCDは、声がかれたり疲れたりしているときは話したり歌ったりしないよう注意している |
| 乾燥した部屋で過ごす | 喉が乾燥すると声が出しにくくなる |
| お酒やタバコ | 睡眠の妨げになり、喉にも負担がかかる |
| ささやき声での会話 | 声帯に負担がかかることがある |
声がれが長く続く、痛みがあるといった場合は、自己判断せずに耳鼻咽喉科を受診してください。
本番前日になって慌てて水をたくさん飲んだり、早めに寝たりした経験はありませんか? 気持ちはよくわかるのですが、筆者の経験では、それで声の調子が劇的に良くなることはほとんどありません。
睡眠も水分も、1日だけ頑張ってもすぐに体に反映されるものではないからです。逆に言えば、1週間前から整えておけば、前日に特別なことをする必要はありません。
これは仕事のプレゼンや大事な商談でも同じです。「本番に強い人」は、当日に強いのではなく、本番の前から準備している人なのかもしれません。
まとめ
- 本番の声は、当日ではなく1週間前から作る
- いちばん大事なのは「睡眠」と「水分」
- 3日前からは声を使いすぎず、加湿を徹底する
- 前日はいつもどおりに過ごす
- 当日はなるべく喋らない。ただし、ささやき声は避ける
- 声がれや痛みが続くときは耳鼻咽喉科へ

