「ちゃんと寝ているはずなのに、疲れが取れない」「朝からぼんやりする」。仕事のパフォーマンスも、声の調子も、見た目のコンディションも、土台になるのは睡眠です。
この記事では、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」をもとに、睡眠の質を上げるために今日からできる10の習慣をまとめます。特別な道具やサプリは使いません。
この記事でわかること
- 国が示している睡眠時間の目安
- 睡眠の質を上げる10の習慣
- 筆者が実際にやっている睡眠の整え方
- やりがちだけど逆効果な習慣
健康太郎まず知っておきたい「睡眠時間の目安」
厚生労働省の睡眠ガイド2023では、年代ごとに次のような目安が示されています。
| 対象 | 目安 |
|---|---|
| 小学生 | 9〜12時間 |
| 中学・高校生 | 8〜10時間 |
| 成人 | 6時間以上(個人差あり) |
| 高齢者 | 寝床にいる時間が8時間以上にならないようにする |
ポイントは、長すぎても短すぎてもよくないということです。ガイドでは、適切な睡眠時間には個人差があり、必要な睡眠時間は年齢とともに減っていくとされています。「とにかく長く寝ればいい」わけではありません。
なお、「6時間以上」はこれを下回らないようにしたい最低ラインの目安と考えるのがよさそうです。たとえば米国睡眠医学会(AASM)と米国睡眠学会(SRS)は、成人は健康のために1晩7時間以上の睡眠を定期的にとるべきだとする共同声明を出しています。「6時間寝ているから十分」ではなく、まずは7時間前後を目指して、後で紹介する方法で自分の適量を探ってみてください。
睡眠の質を上げる10の習慣
1. 自分に必要な睡眠時間を知る
成人の目安は6時間以上ですが、必要な時間は人によって違います。日中に強い眠気がなく、すっきり過ごせる睡眠時間が、自分にとっての適量です。
筆者がおすすめしている探り方は、目覚ましをかけずに、満足いくまで寝る日を何日か続けてみる方法です。最初の数日は寝だめの分だけ長く眠りますが、4日目、5日目あたりで、ある時間に落ち着いてきます。その時間が、自分に必要な睡眠時間の目安です。連休など、予定に余裕がある時期に試してみてください。
2. 毎朝、太陽の光を浴びる
ガイドでは、日中はできるだけ太陽の光を浴びて、体内時計を整えることが勧められています。起きたらカーテンを開ける、通勤で少し歩く、といった小さな習慣で十分です。
3. 日中にしっかり体を動かす
日中に体を動かす習慣は、夜の眠りにつながります。一方で、寝る直前の激しい運動は眠りの質を下げるおそれがあるとされているので、運動は日中〜夕方までに済ませるのが理想です。
4. 食事の時間をそろえる
規則正しい食事も、体内時計を整える要素の一つです。ガイドでは、寝る直前の夕食や夜食、朝食を抜くことなどの食習慣の乱れが、睡眠で休まった感覚(睡眠休養感)を下げる要因とされています。
5. カフェインは夕方以降控える
コーヒーやエナジードリンクなどのカフェインは、夕方以降の摂取を控えるよう勧められています。さらに、午前中でも1日の総量が多いと夜の睡眠に影響しうるとされています。「午後3時以降は飲まない」など、自分なりの区切りを決めておくと続けやすくなります。
6. 寝酒をしない
お酒を飲むと寝つきがよくなる気がしますが、ガイドでは寝酒の習慣はかえって眠りを悪化させるとされています。喫煙も睡眠の妨げになります。
7. 寝室を「暗く・静かに・ちょうどいい温度」に
寝室は支障のない範囲で暗くし、静かで、季節に応じて眠りを邪魔しない温度に調節することが勧められています。夏の高温・多湿は眠りを難しくする原因の一つです。遮光カーテンやエアコンのタイマーなど、環境を整える工夫は効果が出やすいところです。
8. 寝床でスマホを見ない
ガイドでは、寝る前や寝床の中でのデジタル機器の使用が、夜ふかしや朝寝坊、睡眠不足を助長するとされています。寝そべって画面を見ると、画面が目に近くなり、寝つきや睡眠の質が悪化しやすくなります。スマホは寝室の外で充電する、というのが一番シンプルな対策です。
9. 眠くなってから寝床に入る
眠くないのに早く寝床に入っても、なかなか眠れず、かえって「眠れない」ことを意識してしまいます。ガイドでは、眠くなってから寝床に入り、目が覚めたら寝床から出ることが勧められています。寝床は「眠る場所」と体に覚えさせるイメージです。
10. 昼寝は午後の早い時間に短く
昼寝をするなら、長時間は避けて、午後の早い時間に短くとどめるのがポイントです。高齢者では、30分以上の昼寝を習慣にしている人の将来の死亡リスクが高まるという報告もあり、長い昼寝は避けるよう勧められています。



筆者が実際にやっていること
ここからは、ボーカリストとして、また経営者として、筆者が実際に続けていることを紹介します。
「自分の睡眠時間」を決めて、眠れない時間を減らす
上で紹介した方法で自分に合う睡眠時間がわかると、「布団に入ったのに眠れない」時間が減ります。早く寝床に入りすぎて、眠れないまま過ごす時間は、正直なところ何も生まない虚無の時間です。必要な時間だけ寝床にいる、というのが一番効率のいい眠り方だと考えています。
寝る前に「明日の朝やること」を考えておく
経営者という立場では、翌朝にやることや、決めなければならないことが残っている日もあります。そういう日は、寝る前に明日の朝やること・決めることを頭の中で整理してから眠るようにしています。朝起きたときに、何から手をつけるかがはっきりしていると、1日の立ち上がりが早くなります。
歌う日の前は「1週間前から」整える
レコーディングやライブなど歌う予定があるときに、とにかく忘れないようにしているのは睡眠と水分です。ただし、前日から意識しても遅い。体のコンディションはすぐには変わらないので、1週間前から睡眠時間と水分補給を意識して過ごします。そして当日は、喉を温存するためになるべく喋らないようにしています。



やりがちだけど逆効果な習慣
| やりがちな習慣 | どうしたらいいか |
|---|---|
| 休日に昼まで寝だめする | 起きる時間を平日と大きくずらさない。体内時計が乱れる原因になる |
| 眠れないので早めに布団に入る | 眠くなってから寝床に入る |
| お酒を飲んで寝る | 寝酒をやめる。眠りが浅くなる |
| 夕方にコーヒーやエナジードリンクを飲む | 夕方以降はカフェインを控える |
| 布団の中でスマホを見ながら寝落ちする | スマホは寝室の外へ |
それでも眠れないときは
習慣を見直しても眠れない状態が続く、いびきや呼吸が止まると言われた、日中の眠気が強くて仕事や運転に支障がある、といった場合は、睡眠の病気が隠れていることもあります。自己判断で済ませず、医療機関に相談してください。
「昨日3時間しか寝てなくてさ」。仕事ができる人の勲章のように語られていた時代もありました。でも今は、国のガイドでも成人は6時間以上が目安とされ、睡眠はパフォーマンスを支える「仕事の一部」と考えられるようになっています。
経営者やフリーランスのように、働く時間を自分で決められる人ほど、睡眠を削って時間を作りがちです。けれど、寝不足の頭で長く働くより、しっかり寝た頭で短く集中したほうが、結果的に進むことは多いもの。
睡眠時間を「余った時間」ではなく「先に確保する予定」として扱う。それだけで、1日の組み立て方が変わってきます。
まとめ
- 成人の睡眠時間は6時間以上が最低ラインの目安(海外では7時間以上を推奨)。ただし必要な時間には個人差がある。目覚ましなしで数日寝ると、自分の適量が見えてくる
- 朝の光、日中の活動、規則正しい食事で体内時計を整える
- カフェインは夕方以降控え、寝酒はしない
- 寝室は暗く・静かに・ちょうどいい温度に。寝床でスマホは見ない
- 眠くなってから寝床に入り、昼寝は短く
- 眠れない状態が続くときは医療機関へ
