歌う人にとって、喉は楽器そのものです。とはいえ、「喉にいい」とされるケア方法やグッズはたくさんあって、何から手をつければいいか迷いますよね。
この記事では、声のケアに関する医療機関・公的機関の資料をもとに、普段からできる喉のケアと、あると便利なグッズの選び方をまとめます。
この記事でわかること
- 喉のケアの基本は「潤す・休ませる・刺激を避ける」
- 加湿器・吸入器・鼻うがい・マスク・のど飴・はちみつの上手な使い方
- 筆者が実際に使っているケアグッズ
- やりがちだけど喉に負担をかける習慣
健康太郎喉のケアの基本は3つ
| 基本 | 具体的には |
|---|---|
| 潤す | 水分をこまめにとる。部屋を加湿する |
| 休ませる | 声を使わない時間をつくる。声がかれているときは無理をしない |
| 刺激を避ける | タバコの煙、乾燥、ほこり、騒がしい場所での大声を避ける |
米国国立衛生研究所の一機関であるNIDCD(国立難聴・伝達障害研究所)も、水分補給、加湿、声の休息、喫煙を避けることなどを、声を守るためのポイントとして挙げています。
「潤す」ためのケアとグッズ
水分補給
いちばん手軽で大事なのが水分補給です。NIDCDは、たっぷり水を飲むこと、そしてカフェインやアルコールをとるならそのぶん水も多めに飲むことをすすめています。一度にたくさん飲むより、1日を通してこまめにが基本です。
筆者の結論も、結局はこれです。とにかく水か白湯を飲む。特別なドリンクを探すより、手元にいつも水がある状態をつくるほうが、喉のコンディションはずっと安定します。
加湿器
国立病院機構 東京医療センターの「声の衛生」では、加湿を声の「エンジンオイル」にたとえ、加湿器やスチーム吸入器の使用をすすめています。NIDCDも、冬や室内が乾燥しているときの加湿器の使用をすすめ、目安として湿度30%を挙げています。
- 寝室に置く:寝ている間は口が開きやすく、喉が乾燥しやすい
- こまめに掃除する:タンクや給水部分が汚れたままだと、雑菌を部屋にまいてしまう
- 湿度計とセットで:加湿しすぎは結露やカビの原因になる。湿度を見ながら調整する
スチーム吸入器
温かい蒸気を直接吸い込めるので、歌う前やレコーディングの合間など、短時間で喉を潤したいときに便利です。東京医療センターの資料でも、加湿器と並んで吸入器の使用が挙げられています。
筆者が愛用しているのは、パナソニックのスチーム吸入器「ホットシャワー」です。喉にしっとり蒸気が届く感覚があり、かなりおすすめできます。ただ、正直に言うとお手入れは少し大変。蒸気が通る部分を清潔に保つ必要があるので、使ったあとは吸入マスクなどを外して洗う手間がかかります(現行モデルのEW-KA65も、吸入マスク部分を外して水洗いする仕様です)。買う前に、手入れを続けられるかもイメージしておくといいでしょう。
鼻うがい
喉のケアというと喉ばかりに目が行きがちですが、筆者がもう一つおすすめしたいのが鼻うがいです。鼻がつまると口で呼吸することが増え、喉が乾燥しやすくなります。筆者は、鼻うがい用の「サイナスリンス」(ニールメッド)を使っています。専用の粉をぬるま湯に溶かして、鼻の中を洗い流すタイプです。
鼻うがいで気をつけたいのが、使う水です。米国の医療機関ナショナル・ジューイッシュ・ヘルスは、米国疾病予防管理センター(CDC)の注意喚起をふまえ、水道水をそのまま使わず、精製水・滅菌水、または1分間沸騰させてから冷ました水を使うよう案内しています。製品の説明書にも従って使ってください。
マスク
東京医療センターの資料では、乾燥とほこりへの対策としてマスクの着用が挙げられています。自分の吐く息で喉の湿り気を保てるので、乾燥した移動中や寝るときにも役立ちます。
「休ませる」ためのケア
- 声の休憩時間をつくる:NIDCDは1日の中で声を休ませる「ボーカルナップ(声の昼寝)」をすすめている
- 声がかれているときは無理しない:話したり歌ったりせず、回復を待つ
- ささやき声に注意:NIDCDは、体調を崩して声を休めるときに叫び声やささやき声を避けるよう注意している
- しっかり眠る:睡眠は体全体の回復の土台。睡眠の質を上げる方法も参考に
のど飴とはちみつの使い方
のど飴
のど飴は喉の乾燥を和らげてくれますが、糖分が多いものもあります。東京医療センターの資料では、飴をなめた後は水を一杯飲むよう書かれています。なめっぱなしにせず、水とセットで使いましょう。
はちみつ
はちみつは、昔から喉のケアに使われてきた食品です。お湯に溶かして飲むなど、取り入れやすいのが魅力です。ただし、1歳未満の乳児には与えてはいけません。厚生労働省は、乳児ボツリヌス症を防ぐため、ハチミツは1歳を過ぎてから与えるよう呼びかけています。家族に小さな子どもがいる場合は注意してください。
ちなみに筆者は、はちみつ系のケアは体に合わず、使っていません。喉のケアは人によって合う・合わないがあるので、「みんなが良いと言うから」ではなく、自分の喉で試して決めるのがいちばんです。



喉に負担をかける習慣
| やりがちな習慣 | どうしたらいいか |
|---|---|
| 乾燥した部屋で長時間過ごす | 加湿器と湿度計で、湿度を保つ |
| 騒がしい場所で大声で話す | 静かな場所で話す。必要ならマイクを使う |
| 声がかれているのに歌う | 声を休ませる。長引くなら耳鼻咽喉科へ |
| タバコ・受動喫煙 | NIDCDは喫煙と受動喫煙を避けるよう呼びかけている |
声がれが長く続く、痛みや違和感が強いといった場合は、自己判断でケアを続けず、耳鼻咽喉科を受診してください。
ちょっとした裏話です。筆者は現役で歌っていたころ、レコーディングスタジオに電気ケトルを持ち込んでいました。
理由は単純で、いつでも白湯を飲めるようにするためです。スタジオは機材のために空調が効いていて、思った以上に乾燥します。自販機の冷たい飲み物では喉が冷えてしまうし、コンビニまで買いに行くのも面倒。だったら、お湯を沸かせる環境ごと持っていけばいい、というわけです。
周りからは少し変わった目で見られたかもしれませんが、テイクの合間に白湯をひと口飲めるだけで、喉の調子はかなり違いました。高価なグッズより、「いつでも水分をとれる環境」をつくることのほうが、よほど効く。これは今でも変わらない、筆者の喉ケアの原点です。
まとめ
- 喉のケアの基本は「潤す・休ませる・刺激を避ける」
- 水分はこまめに。加湿器は寝室に置き、湿度計で管理する
- 吸入器は本番前や合間に便利。筆者の愛用はパナソニック「ホットシャワー」(手入れは少し大変)
- 鼻うがいもおすすめ。水道水はそのまま使わず、精製水や沸騰させて冷ました水を使う
- マスクは乾燥対策に便利
- のど飴の後は水を一杯。はちみつは合う・合わないがある。1歳未満の乳児には与えない
- 迷ったら、とにかく水か白湯
- 声がれが長引くときは耳鼻咽喉科へ
参考資料
- NIDCD(米国国立難聴・伝達障害研究所)「Taking Care of Your Voice」
- 国立病院機構 東京医療センター「声の衛生」
- National Jewish Health「Nasal Wash Update」(鼻うがいに使う水)
- パナソニック「スチーム吸入器 EW-KA65」製品ページ
- 厚生労働省「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから」(あさコラム)

